金の超微粒子、磁石にくっつく


 金は100万分の数ミリ程度の超微粒子にすると、磁石にくっつく――。こんな新たな性質を、北陸先端科学技術大学院大学と高輝度光科学研究センターのチームが確認した。「将来的には、超小型で超大容量の磁気記録ディスクなどへの応用も期待できる」という。米物理誌フィジカル・レビュー・レターズ10日号で発表した。

 同大の山本良之助手らは、塩化金酸などを超純水に入れて反応させ、直径2〜3ナノメートル(ナノは10億分の1)の金微粒子(金原子で約220個)を作った。大型放射光施設「スプリング8」(兵庫県三日月町)で、これに放射光X線をあてて磁性を持つか調べた。温度を零下約270度まで下げると、微粒子が強い磁性を帯び、そろって磁場の方向を向いた。

 これまでも、金微粒子が磁性を持つ可能性は指摘されていたが、従来の研究設備では磁性を帯びた不純物に邪魔され、金微粒子そのものの性質ははっきりしなかった。

 金微粒子は常温では磁性を持たないが、鉄などの磁性金属を金微粒子で包めば、常温でも応用できると期待される。鉄などに金や白金など貴金属元素を組み合わせると、記録容量も飛躍的に高まるという。 (09/15 11:44)