民衆の「訒小平観」

 各紙の訒小平記念特集にさっと目を通すと、「貧困は社会主義ではない」「生産力の発展をはかることが社会主義にとって最大の課題である」など訒氏の名言を振り返えっている。記事の内容は、市場経済へと中国発展の方向を大転換させえた功績を称えるものがほとんどだ。その中、新鮮感のあるひとつの企画があった。

 新華通信社は6月末から7月27日までオンラインアンケート調査を行い、5500余りのインターネット利用者から回答を集めた。
http://news.xinhuanet.com/newscenter/2004-07/26/content_1650299.htm

 調査結果によると、「訒小平」という名前の認知度は100%だった。「彼の経歴をどこまで知っているか」については、68.2%が「よく知っている」「大体知っている」と答えた。

 「訒小平氏をどのように知ったか」という設問に対し、「ドキュメンタリー番組や映画」と答えた人が一番多い。2位は「伝記などの書籍」で、3位は「ニュース、報道」だった。中国の高校では、「政治」という授業でトウ小平理論を勉強するが、訒氏の経歴を知らせ、イメージを浸透させるにはマスコミの力の方が強いようだ。

 「訒小平の言葉で、一番印象的だったのは?」という設問に対する答えでは――
・1位は「私は中国人民の息子です。私は祖国と人民を深く愛しています」
・2位は「発展こそ基本原則」
・3位は「白猫であれ黒猫であれ、ネズミを捕るのが良い猫である」(経済発展に結びつけばどんな方法でもよしとする生産力重視の思想)
 「訒氏が深く中国を愛し、人民が豊かになることを願っていた」と国民の多くは受け止めているようだ。

 「訒小平の政策のうち、国と国民に一番大きな影響をあたえたのは?」という設問の答えでは――
・1位は「科学技術は第一の生産力である』
・2位は「市場経済への方向転換」
・3位は「文化大革命で中断された大学進学試験を再開させたこと」 
 経済に堪能な政治家というイメージが中国民衆の中に深く浸透しているようだ。