頭部化石分析で裏付け


 最古の鳥の祖先とされる「始祖鳥」の頭部化石をCTスキャンで分析した結果、視覚やバランス感覚を制御する脳や内耳の一部が現代の鳥類並みに発達し、十分に空を飛べたことがわかった。始祖鳥の飛行能力をめぐる議論に終止符を打つ証拠となりそうだ。

 始祖鳥は約1億5000万年前のジュラ紀に生息した。7体しか見つかっていない化石のうち保存状態がいい英自然史博物館の化石の長さ約2.5センチの頭部を、同博物館の研究者が米テキサス大に運び、CTスキャンで分析して三次元のイメージを再現した。

 脳の体積は1.6ミリリットルと推定された。体重と脳の体積の比率でいうと、爬虫類の約3倍、鳥類ではキジなどの約3倍、スズメの約5分の1に相当した。

 脳の上部にある光を感じる「視葉」が鳥類のように大きく、左右に分かれていた。バランスを制御する内耳の三半規管の長さなども鳥類とほぼ同じで、飛行に必要な視覚や空間認知能力、平衡感覚がすでに発達していたことがわかった。

 始祖鳥は羽ばたきに必要な胸筋があまり発達していなかったと思われる点や、同じように羽毛や尾があっても飛ばない肉食恐竜の化石が見つかったことなどから、飛行能力が疑問視されていた。

 真鍋真国立科学博物館主任研究官は、「羽毛恐竜と大した違いがないとも言われた始祖鳥がちゃんと飛べると示した。翼竜などの頭部化石もCTスキャンで調べれば、脳神経系の進化と飛行など行動との関係がわかるだろう」と話す。

(08/05 03:03)


「フジヤマ」行きたい

id:okatatsuya:20040725