medicine 海綿骨からの幹細胞の採取

 骨内部の組織「海綿骨」に、様々なタイプの細胞に分化できる幹細胞が大量に存在することを、東京医科歯科大の運動器外科学教室(宗田大(たけし)教授ら)のグループが見つけた。幹細胞は再生医療で中心的役割を担い、骨髄液から採取して治療の試みが始まっているが、海綿骨からは1度でその約100倍も採れ、採取に伴う患者のリスクや負担を減らせるという。

 骨髄液に含まれる幹細胞は、骨や血液、脂肪組織などの細胞に分化する能力を持つため、失われた組織を再生するのに役立つと期待されている。

 海綿骨は、骨組織のうち、内部にあるスポンジ状の多孔質組織。

 同グループは、海綿骨の表面に付いている細胞を調べ、骨をつくり出す骨芽細胞や軟骨細胞、脂肪細胞などに分化できる細胞を発見。骨髄液中の幹細胞とほぼ同じ特徴を備えていた。

 体内に刺して微量の組織を採取する生検針によって、骨髄液からも、海綿骨からもほぼ同量の細胞が得られる。だが、含まれる幹細胞の数は、海綿骨の方が約100倍も多かった。関矢一郎助手は「骨髄液中の幹細胞は、海綿骨から供給されているのではないか」と話す。

 骨髄液を得るには、多数の神経が通る背骨の中心近くまで針を刺さねばならない。また、必要量を確保するために採取が数回に及ぶこともあり、再生医療を受けようとする患者にとってリスクと負担になっている。

 海綿骨からの採取なら骨盤などから安全に、1度で採取できる可能性が高いという。

(07/19 12:37)