東大・IBM


 銀河系はどんな風に今の姿を形作ったか――。膨大な計算が必要で解けなかった問題の解決を目指して、東京大学などの研究チームが超高速コンピューターGRAPE−DRの開発を始めた。天文計算で現在世界最速の東大のコンピューターGRAPE6の能力を08年までに約30倍高めるのが目標。計算速度は、世界一になる見込みだ。

 東大を中心に情報通信研究機構国立天文台理化学研究所、IBM、NTTコミュニケーションズがチームを作る。今年度の文部科学省の科学技術振興調整費から最大3億円が支出される。

 1024個の演算装置を組み込んだ集積回路を2000個以上、並列につなぐ。200万個の演算装置が同時に動き、1秒間に2000兆回の計算ができる。演算装置を増やした分、回路の構成に工夫を加えてメモリーや制御に使う集積回路を減らし、大型化を避けて省電力に成功した。

 GRAPE−DRは、天文関係の計算が得意だったGRAPE6の特徴を引き継いだ上で、遺伝子やたんぱく質の解析に必要な計算もできるようにする。

 多分野の計算が可能なスーパーコンピューターでは、海洋研究開発機構横浜市)の地球シミュレーターが1秒間に40兆回の計算能力を持ち、世界最速。アメリカが1年以内に世界最速の奪還を目指すスパコンの開発計画を発表し競争が激化している。GRAPE−DRの計算能力は特定分野に限られるものの、速度は地球シミュレーターの50倍になる。


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