たんぱく質の8割に差


 人とチンパンジーの遺伝情報の差は、従来考えられていた1.23%よりも大きいことが、理化学研究所など国際チームの研究でわかった。DNAが収納された染色体の1本を分析したもので、そこにある遺伝子の作るたんぱく質の8割で構成が人と違っていた。27日発行の英科学誌ネイチャーに発表する。

 理研の榊佳之ゲノム科学総合研究センター長らが、チンパンジーの染色体24対のうち22番と、それに相当する人の21番のDNAを、99.99%以上の正確さで分析した。

 塩基という、いわば遺伝情報を記す文字の数はチンパンジーでは約3280万、人は約3313万だった。

 比較すると、特定のDNAの断片がチンパンジーのDNAに入り込んでいるのに人にはなかったり、人にはあるのにチンパンジーでは欠けたりするといった違いが約6万8000カ所もあった。

 人とチンパンジーの遺伝情報の違いが1.23%とされたのは推計によるもの。DNA断片の入り込みや欠落まではわかっていなかった。今回調べた部分の差は5.3%と計算される。

 それぞれの染色体の同じ位置にある遺伝子231個の作るたんぱく質を比べると、たんぱく質を構成するアミノ酸が1個以上違うものが8割にのぼった。DNA配列の違いによるとみられた。

 榊さんは「人とチンパンジーの差は、少数の遺伝子の劇的な変化だけでなく、小さな変化がたくさん集まって生まれているようだ」と話す。

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