8世紀のまま説に新根拠

 東大寺奈良市)の大仏殿前にある金銅製の八角灯籠(とうろう、国宝)は、大部分に国産の銅を使って作られていたことが5月14日、平尾良光別府大教授(文化財科学)の鉛同位体比分析で分かった。
 八角灯籠は大仏開眼供養(752年)前後に制作されたと伝わる。様式の特徴などから12世紀の兵火で損傷、中世に大幅に作り替えたとする説もあったが当時は輸入銅が中心。国産銅が主流だった8世紀の姿がほぼそのまま残っているという見方を支持する根拠として注目されそうだ。
 鉛同位体比分析法は、金属に含まれる鉛同位体の比率から原料の産地を特定する。平尾教授は1995−98年の解体修理時に、灯籠の約30カ所からさびや金属試料を採取、分析した。
 その結果、大部分が国産銅に含まれる鉛の同位体比と一致。後年の修復個所で神岡鉱山岐阜県)産とみられる銅も検出した。(共同通信)


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