植物に寄生の病原体・ファイトプラズマの全遺伝情報解明

 アジサイの花を葉に変えるなど、植物に寄生して様々な病気を引き起こす病原体・ファイトプラズマの全遺伝情報(ゲノム)を難波成任(しげとう)・東京大学教授(植物病理学)らが解読した。植物から栄養分を取り込む遺伝子が多数あった半面、自分でエネルギーを作る酵素の遺伝子を欠いていた。難波教授は「寄生のための機能だけ残した微生物と言える」としている。

 ファイトプラズマは細菌より小さく、ウイルスより大きい。67年に日本で発見されて以来、36種類見つかっている。ヨコバイという昆虫の媒介でアジサイアサガオの花を葉に変えたり、イネを実らなくさせたりするなど、700種以上の植物に病気を起こす。

 難波教授らは、36種類のうちの一つ、アジサイの花を葉にするファイトプラズマのゲノムを解読。86万対の塩基配列で、754個の遺伝子を見つけた。たくさんあったのは、寄生した細胞から栄養分を取り込む輸送系の遺伝子。エネルギーの源となるATP(アデノシン三リン酸)や核酸の合成に関する遺伝子はなかった。

 難波教授は「遺伝子の機能の解明が進めば、防除法や植物の新品種の開発に使えるかもしれない」と話している。


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