姿は平らで永遠に膨張

 宇宙の年齢は137億歳、平らで永遠に膨張を続ける――。米航空宇宙局(NASA)は昨年2月12日、人工衛星でとらえた誕生直後の宇宙の様子を公開し、その「姿」を明らかにした。これまでも130億歳以上で、平らなどと推定されていたが、NASA人工衛星で詳細に観測して分析。宇宙をめぐる様々な議論を決着させる成果だという。

 NASAは、WMAPという衛星で、宇宙誕生の大爆発(ビッグバン)から38万年後の宇宙から降り注ぐ電波(宇宙背景放射)の温度などを100万分の1度の精度で観測。宇宙の温度分布図をつくった。

 宇宙全体のエネルギーのうち、水素など星を形作るふつうの物質は4%にすぎず、正体不明の暗黒物質ダークマター)が23%。73%はアインシュタインが予言した宇宙定数(ダークエネルギー)だった。

 形は、曲がっていたり、反っていたりするのではなく、平らであることがはっきりし、誕生直後に爆発的に膨張(インフレーション)したことも確実になった。宇宙が将来、収縮に転じてつぶれる可能性はなくなった。

 国立天文台の杉山直教授(宇宙論)は今回の結果から宇宙の大きさは800億年後に今の100倍になると計算。「これまで予想されていたことが格段に高い信頼度で明らかになった。宇宙論は証明できないストーリーから精密な科学になったといえる。ただ宇宙のほとんどを占める物質やエネルギーは何かという新たな謎も生まれた」と話す。

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