「ひも」で解く宇宙のなぞ

コロンビア大学教授(物理学) ブライアン・グリーンさん

 宇宙は11次元の「ひも」からできている――ひも理論の第一人者が最近の物理理論を紹介した「エレガントな宇宙」。米国では40万部のベストセラー。草思社から出た邦訳も10万部を突破した。

 マクロを扱う相対論と、ミクロを扱う量子論は20世紀物理学の両輪。ふつうは一方で足りるが、宇宙誕生時のビッグバンのような、大きさは小さく質量が大きい極限状況では両者が必要になり、破たんしてしまう。

 物質の根源をなす粒子を「ひもの振動」とみて、この矛盾を解決するのがひも理論。5歳で30けた同士のかけ算ができた神童は「なぜ僕らはここにいるのか」を追い続けてきたという。

 初の著書である本書は、「古代ギリシャ以来、目標に向かって進む科学の姿を伝えたくて」書いた。巧みなたとえ話と数式がないのが特徴だ。「宇宙に関心をもつ人は多いので、わかりやすくしたかった」

 ひもはまだ理論上の産物。だが、「存在しないという証拠は見つかっていません」ときっぱり。「(欧州が建設中の巨大加速器)LHCなどによって、あと5〜10年で、ひも理論が予測する物理法則が確認されると期待しています」

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