国の名勝に


 宮沢賢治の作品の源泉となった岩手県内6カ所の自然景観が「イーハトーブの風景地」として、景観の重要文化財にあたる名勝に指定されることになった。19日、文化審議会高階秀爾会長)が、中山文科相に答申した。近代文学の舞台が名勝になるのも、離れた地域を「一群」で指定するのも初めて。賢治が暮らし、作品に描いた素朴な風景が、これからは文化財として保存される。

 「イーハトーブの風景地」は、「屈折率」など多くの詩作の題材となった七つ森雫石町)、人間関係を表す象徴的存在として描かれた小岩井農場内の狼森(おいのもり)(同)、農学校の生徒を連れ遠足に行った釜淵の滝(花巻市)のほか鞍掛山(滝沢村)、五輪峠(東和町)、種山ケ原(江刺市と住田町)の計6カ所。

 同審議会は「理想の大地として賢治が名づけたイーハトーブを構成する場所で、多くの人々に愛されている」と評価。今後、土地の所有者の同意が得られれば、ほかの賢治関連の景観も追加指定を検討する考えだ。

 ほかに、最も早い時期の大型前方後方墳である西求女塚(にしもとめづか)古墳(神戸市)など13件を史跡に、旧観自在王院庭園(岩手県平泉町)を名勝に、モクレン科の落葉性小高木シデコブシが生育する鈴鹿山脈東端の小さな谷「田光(たびか)のシデコブシ及び湿地植物群落」(三重県菰野町)を天然記念物に答申した。

 そのほかの新たな指定は次の通り。

【史跡】カリンバ遺跡(北海道恵庭市)▽達谷窟岩手県平泉町)▽骨寺村荘園遺跡(同県一関市)▽井野長割遺跡(千葉県佐倉市)▽鎌刃城跡(滋賀県米原町)▽八上城跡(兵庫県篠山市)▽山陰道蒲生峠越(鳥取県岩美町)▽大廻小廻山城跡(岡山市岡山県瀬戸町)▽津屋崎古墳群(福岡県津屋崎町)▽唐原山城跡(同県大平村)▽野津古墳群(熊本県竜北町)▽角牟礼城跡(大分県玖珠町


〈名勝〉 優れた景観の文化財。庭園や橋、峡谷や海浜、山岳などのうち価値の高いもので、これまで327件を国が指定している。うち松島、富士山、金閣寺庭園、天橋立など35件が国宝にあたる特別名勝。指定されると、現状の変更や保存に影響を及ぼす行為をするには文化庁長官の許可が必要となる。

(11/20 06:43)


生まれ変わったら、美少女になりたい

id:hondakyou:20041120