NY「9・11」から3年


 米同時多発テロから3年。倒壊した世界貿易センタービル(WTC)跡地の再開発工事がようやく動き始めた。復興の象徴となるフリーダム・タワーが7月に着工され、周辺地域でも空洞化回避の試みが続く。しかし、ビル倒壊に絡む保険金訴訟が建設資金の調達に影を落とすなど課題も多い。

 ニューヨーク証券取引所に最も近い高級ホテルとして有名だった「リージェント・ウォール街」が撤退した。AP通信によると、テロ後に10%以下に落ち込んだ利用率の回復が遅れ、今年初めに閉鎖に追い込まれた。

 跡地周辺地域ではテロ後、大手銀行JPモルガン・チェースが約2千人を対岸のニュージャージー州に移動させるなど、空洞化が目立つ。商業用不動産の空き室率はテロ前の6%台からテロ直後に14.2%まで悪化し、現在も13%程度までしか回復していない。

 最近もシティグループや、テロで658人の犠牲者を出した債券仲介大手カンター・フィッツジェラルドが業務をマンハッタン以外やマンハッタン中央部に移す方針が明らかになり、世界の金融センターとしての地位は陰る一方だ。

 証券大手ゴールドマン・サックスが8月、約7400人が勤める新本社ビルの建設を明らかにするなど、前向きな動きもある。しかし、新ビルの建設資金18億ドル(約2000億円)のうち10億ドルは、復興用に州と市が80億ドルの発行枠を設けた低利の特別公債で調達する予定で、巨額の公的支援がないと企業誘致は困難だ。

 オフィスの空洞化を逆手に取る形で、むしろ住宅地域としての活用も計画されている。多くの人が住めば、小売店なども進出し、いずれオフィス需要にもつながるとの期待が背後にある。地元不動産業者は「95年時点の商業スペースの1割は住宅に転用される」と推測している。

 一方、周辺の空洞化以上に復興関係者を悩ませているのは、肝心のWTC跡地そのものの再開発が不透明なことだ。高さ世界一を誇る540メートルの自由の塔に次いで、四つの高層ビル建設が予定されている。自由の塔の建築費約15億ドルを含めて全体で70億ドル程度が必要とみられるが、資金調達の難しさが指摘されている。

 かぎを握るのは、WTCのリース権を保有する開発業者ラリー・シルバースタイン氏と、20を超える損害保険会社との保険金訴訟だ。2機の航空機によるWTCの2棟のビル倒壊を1件の出来事とみるか、2件とみるかで対立している。上限保険金額が35億ドル(約3800億円)か、その倍の70億ドルかという大差が出るためだ。シルバースタイン氏側の敗訴が続くと計画縮小を迫られる可能性がある。

 地元メディアによると、保険金額で3分の2を占める保険会社との訴訟で「契約上は1件の出来事」との判断が示されており、同氏側は劣勢だ。

 シルバースタイン氏は今年7月、全体設計者のダニエル・リベスキンド氏から「自由の塔の設計費が支払われていない」として84万ドル余りを求める訴訟を起こされた。テロ復興事業に、金をめぐる相次ぐ訴訟が波乱要因となってきている。

(09/12 08:16)


マルコムとダモ鈴木。なのに熱いロックとは。

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