米専門誌発表


 健康や森林に被害を及ぼす光化学スモッグの原因物質オゾンが、北米や欧州からも日本に飛来している――。こんな分析を独立行政法人海洋研究開発機構横浜市)の秋元肇らのチームがまとめ、米地球物理学会誌6月号に発表した。秋元氏は「オゾンは北半球を回るように移動している。地球レベルの対策が必要」と話している。

 光化学スモッグの原因物質は、自動車や工場などから排出される二酸化窒素などの窒素酸化物が紫外線で分解されてできるオゾンが主成分。オゾンは成層圏では有害な紫外線を吸収して生物に有益だが、地表近くでは、光化学スモッグ地球温暖化の原因になる。

 研究チームは、地表近くでの化学物質の反応、移動を予測できる米カリフォルニア大開発の計算モデルを使って、オゾンが北米と欧州から日本へどの程度飛来してくるか計算した。

 その結果、欧州からは春を、北米からは冬〜春をピークに、偏西風に乗って日本へ飛来していた。光化学スモッグの日本の環境基準値は60ppb。地表付近(上空2キロまで)では4〜6ppb、上空10キロ付近では5〜10ppbが北米と欧州からのものとみられるという。

 光化学スモッグの被害が最大となる夏も、飛来量はそれほど低下していない。

 国内では毎年、9割以上の地点で光化学スモッグの環境基準値を達成できておらず、120ppbを超えると、注意報が出されている。場所により違うが、オゾンの半分程度は国内から、2〜3割程度は中国大陸から来ていると考えられている。


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