たそがれ時の光でたんぱく質増


 夜更かしをすると体内時計が遅れ、翌日の生活リズムが乱れる。時計を狂わす原因は、たそがれ時に明るい光を浴びると増えるたんぱく質にあることを深田吉孝・東京大教授(神経生物学)らが動物実験で解明した。このたんぱく質を減らせる薬ができれば、極端な不眠など体内時計が正常に働かない病気の治療につながる。8日発行の米国の生命科学専門誌に発表する。

 深田教授らはニワトリに夜間も光を当て続ける実験をした。体内時計を刻むたんぱく質は夜に増え、昼に減るが、「E4BP4」というたんぱく質が体内時計を刻むたんぱく質の生産を抑えてしまうことが以前から分かっていた。今回、人が夜更かしをするときのように、ニワトリに夜の前半6時間、光を当てた場合にだけ、E4BP4が増えて、体内時計を刻むたんぱく質が夜になっても増えず、体内時計に遅れが生じる、という仕組みが解明できた。

 また、E4BP4はリン酸化酵素の働きで次々と分解され、6時間分夜更かしをしても、時計のずれは2時間で済むことも分かった。

 深田教授は「多少の夜更かしや時差なら自然に体内時計は修正される。E4BP4を減らす薬ができれば、大きな時差にも対応できるようになるかもしれない」と話す。

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