イラクのスンニ派・シーア派


 バグダッドで8日、イスラム宗教組織と政党、人権団体などが集まった「イラク再建国民会議」が開かれ、イスラムスンニ派シーア派の「統一イスラム宗教者協会」の結成が発表された。邦人人質事件で仲介役を演じたイスラム宗教者委員会も中心団体として加わる。6月末に予定される占領当局からイラク暫定政府への主権移譲に向けて、イスラム宗教者が政治的影響力を強める動きと見られる。

 スンニ派イスラム宗教者委員会は、「反占領」の立場で米軍攻撃を続ける武装勢力にも影響力を持つ。シーア派宗教者組織との協力関係ができれば、主権移譲から選挙に向けた動きの中で、民衆を動員する力を持つことになろう。

 統一イスラム宗教者協会の創設は、バグダッドのイマム・ハリシ大学代表でシーア派のジャワド・ハリシ師が発表した。同師は隣接するスンニ派地区のアザミヤ地区との共同礼拝などを行ってきた。

 スンニ派イスラム宗教者委員会代表のアッダーリ師は会議の冒頭のあいさつで、イラク中部のナジャフやカルバラで起きている米軍とシーア派強硬派サドル師派との衝突について「我々がファルージャの戦闘を解決したように、ナジャフやカルバラの危機の解決のために働く」と述べて、スンニ派シーア派の連携をさらに強めていく意向を示した。

 一方、イラク再建国民会議は宗教者や政党、人権団体が集まった初めての会合。40団体の500人が参加し、「外国の占領と占領の結果もたらされたものを拒否する」や「イスラム法を立法の基本的な正統性の根拠とする」などの行動指針を発表した。占領当局が任命した統治評議会は正統性がないとの立場で、統治評議会に参加している政党は排除された。

 主催者によると、国民会議は「占領反対を進める国民運動」として半年前から準備された。第1回準備会合はバグダッド市内のシーア派聖地カドミヤにあるイマム・ハリシ大学、第2回はスンニ派側のイスラム宗教者委員会の幹部のアブドルサラム・アルクベイシ師がいる同市内のウムアルクラ・モスクで行われた。

朝日新聞

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