ミステロイド読みが「ああん?ミステリ?ケッ!」という(韓流的な意味で)猟奇的な彼女に軽く紹介するためのミステリ10冊 book
所謂便乗というやつ。
ミステリ読みが本を読まない彼女に新本格派を軽く紹介するための10冊
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アンチ・ミステリ改めアンチ・ミステリー……ていうかコンピュータ(ー)用語じゃないからミステリでいいんだよね、でお馴染みアンチ・ミステリ(ー)のあれとアレとあれへの供物と匣の中のあれは除外。狙ってるっぽくてイヤなのと、その四作は推理物としての評価も割と高いので。
『コズミック』清涼院流水
コズミック―世紀末探偵神話 (講談社ノベルス) | |
清涼院流水 講談社 1996-09 売り上げランキング : 140943 おすすめ平均 脱力感と徒労感しか残らない最低の作品 賛否両論にも程があるww オリエント急行殺人事件あるいはコロンブスの卵 Amazonで詳しく見る by G-Tools |
所謂先制パンチというやつ。まぁこれをしょっぱなに持ってくることで立ち位置を明確にしておこうと。「Fuckin' mystery, bombo claat!」な彼女に紹介するのだから、自称良識派の読者が「ケッ」と思うような小説というか大説を持ち出すのは至極当然。世紀末探偵御伽草子(by山口雅也)のお株を完全に奪ったというかパクッた世紀末探偵神話。未だに古本屋で見かけるとニヤニヤ笑いが止まらない。
あと全然関係ないけど『蒼天航路』面白いよね。
魍魎の匣―文庫版 (講談社文庫) | |
京極夏彦 講談社 1999-09 売り上げランキング : 29178 おすすめ平均 祝!映画化!! 押入れの中は覗くなかれ エンターテイメントここに極まれり Amazonで詳しく見る by G-Tools |
京極堂シリーズがミステリか否かなんていう論争は発売当時ならともかく今頃になってとやかく言うことではないし、そんなことを抜きにしてもエンターテインメントとして充分面白いんだからいいじゃないか。大体、小学生の時に読んだコナン・ドイルのシャーロック・ホームズ物のせいですっかり探偵嫌いになり、中学・高校という多感な時期にミステリを一冊も読まずにいた小生が完全にハマッてしまったほどなのだから。
でも映画は観ないと思うけど。
夏と冬の奏鳴曲(ソナタ) (講談社文庫) | |
麻耶雄嵩 講談社 1998-08 売り上げランキング : 207010 おすすめ平均 メルカルトル鮎がまさしく救世主だった作品って書くと怒られるんだろうなぁ ホントは星ゼロ 普通につまらない Amazonで詳しく見る by G-Tools |
無難に『鴉』でも挙げようかとも思ったが、それだと王道過ぎる気もするので、ここは毀誉褒貶激しい長編第二作を。ちなみに大学でキュビスムについての論文を書くことになった際、この本の内容をほぼ丸写しして単位を取得できたのもいい思い出というかオモイデです。結局中退したけどな。
ハサミ男 (講談社文庫) | |
殊能将之 講談社 2002-08 売り上げランキング : 57263 おすすめ平均 世界は意外と狭い 先入観を捨てて読んでみてください。 騙された! Amazonで詳しく見る by G-Tools |
クロフツならぬ『黒い仏』を勧めて罵倒されるのも悪くないが、著者ならではのシニカルでニヒルな視点を最も堪能できるのはやはりこれ。ノベルス版だとノリリンが推薦文を書いていたのでちょっと先入観あったんだけど、いい意味で裏切られた(無論タイトルも)。あと、お願いですから新作書いて下さい。大御所になるにはまだ早い。
笠井潔『サマー・アポカリプス』
サマー・アポカリプス (創元推理文庫―現代日本推理小説叢書) | |
笠井潔 東京創元社 1996-03 売り上げランキング : 70244 おすすめ平均 長い バランスが良い。 本格の中の本格 Amazonで詳しく見る by G-Tools |
出たー!マルクス葬送派筆頭にして史上最強の中卒(和光大学除籍)、THE 観念論こと笠井潔御大。小説と評論という二足のわらじを完全に履きこなしているのはさすが。オススメは、シモーヌ・ヴェイユ対現象学探偵ムッシュ・ヤブキという、矢吹駆シリーズの中でも最高に興味深い思想戦が展開される本作で決まり。トリックも比較的面白いし。
江戸川乱歩『孤島の鬼』
江戸川乱歩全集 第4巻 孤島の鬼 (光文社文庫) | |
江戸川 乱歩 光文社 2003-08-08 売り上げランキング : 32185 おすすめ平均 切々たる余韻を残す乱歩長編の最高峰 僕が人に乱歩を勧めるなら先ずこの作品です。 蠢く乱歩ワールド Amazonで詳しく見る by G-Tools |
ここで大乱歩のご登場であります。本名平井太郎。密室殺人、衆人環視の中での殺人、異形の双生児の謎、果ては闇に閉ざされた洞窟での冒険、とミステリの枠にとどまらない極上のエンターテインメント。BGMは勿論筋少で(空バカでもいいけどちょっとコミカル過ぎるので)。
カラマーゾフの兄弟1 (光文社古典新訳文庫) | |
亀山郁夫 光文社 2006-09-07 売り上げランキング : 941 おすすめ平均 出版社が言うほど優れた訳ではありません 全面改訂を 汲めども尽きぬ。 Amazonで詳しく見る by G-Tools |
「いきなり海外かよ、しかもミステリじゃねえじゃん!Fuck off!!」いえいえいえ、「父殺しの犯人は一体誰なのか?」という観点に立てば、これも立派なミステリ作品です、はい。ウラーッ。新訳まだ読んでないんだけど、なんかあんまり評判良くないねぇ。Amazonのレビューだと概ね好評のようだけど。
フィネガンズ・ウェイク 1 (河出文庫) | |
柳瀬尚紀 河出書房新社 2004-01-07 売り上げランキング : 129952 おすすめ平均 世界中のフィネガン氏が、お通夜の席で目を覚ます 斜め読みで攻めてゆく 言葉の迷宮! Amazonで詳しく見る by G-Tools |
一応は二男一女と妻を持つダブリン在住の一人のおっさんが見た一夜の夢の記述っていうバックストーリーになってるが、この小説なんかはそれこそ謎だらけで、著者自身ですら、出版から百年経たなければ全文の解読はされないだろう、と言い残しているほど。ま、柳瀬尚紀の文章が読めるなら、著者がジョイスだろうと誰だろうと別にどうでもいいんだけどね。
萩原朔太郎「殺人事件」(『月に吠える』所収)
月に吠える (お風呂で読む文庫 10) | |
萩原朔太郎 フロンティアニセン 2004-09-01 売り上げランキング : 231063 Amazonで詳しく見る by G-Tools |
詩である。ネタ切れなどではない。絶対。下に本文へのリンクを貼っておく。朔太郎ってかなり探偵趣味なんだよね。ちなみに内田康夫の『「萩原朔太郎」の亡霊』は未読。
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『……さうして恐る可き殺人事件が突如として映つたり、素敵に気の利いた探偵が走つたりする』(北原白秋による序文より)
水木しげる「おかしな奴」(佐藤プロダクション版『墓場鬼太郎』より)
墓場鬼太郎 (5) (角川文庫―貸本まんが復刻版 (み18-11)) | |
水木しげる 角川書店 2006-12-22 売り上げランキング : 8422 おすすめ平均 「おかしな奴/ボクは新入生」 ブリガドーンって Amazonで詳しく見る by G-Tools |
終いにはマンガである。『金田一少年』『コナン』等々王道マンガは未読の上興味ないので却下。以前読んだ「パタリロ!」の中にも先行ミステリのモロパクリがあったけど、こちらはミステリの雰囲気のみを取り入れたオリジナルで、「事件の依頼」「事件の発展」「事件の解決」「事件の解説」という章立てや、佳境に入ったところでの鬼太郎の変装などに乱歩テイストが多少窺える程度である。当作品の翻案とでも呼ぶべき「陰摩羅鬼」では、章立てすらなくなっているためミステリ風味は更に薄まっている。
おまけ:林檎殺人事件
曲である。朔太郎が思い浮かばなかったら、本気で挙げようと思っていた。
↓歌詞
あー疲れた……。やっぱり長いエントリーなんて書くもんじゃないね。
うわっ!世界最古のミステリ作品、ソフォクレスの「オイディプス王」が入ってない!