禁断の酒「アブサン」解禁 毒性ないと発祥地スイスで

 ピカソら多くの芸術家が愛飲し、飲むと幻覚作用を伴う「禁断の酒」として約1世紀もの間、発祥地のスイスで製造や販売が禁止されてきた蒸留酒アブサン」が解禁された。

 毒性や幻覚作用は科学的な根拠がないとして、スイス議会が1908年に制定された禁止法を廃止したのを受け、政府が今月1日、成分についてガイドラインを設定し、ゴーサインを出した。

 アブサンは、18世紀にフランス人医師がスイスで医薬品として製造。ニガヨモギを主体に、多くの薬草や香草で風味を加えたアルコール度数60−75度の強いリキュールで、色から「緑の妖精」とも呼ばれる。インスピレーションが得られるとして画家ピカソや詩人ランボー、作家ヘミングウェーらが愛飲したことで知られ、オランダの画家ゴッホが自ら耳を切り落としたのはアブサンの常用が原因だったともされる。

 1905年にアブサンを飲んだ農民の男性が、妻や子供を射殺した事件を契機に、スイスや近隣諸国で製造、販売が禁止。近隣諸国の多くは約20年前に解禁したが、スイスでは規制が続いていた。(共同)