古代ローマのディオニュソス像、よみがえる


 イタリア南部のベズビオ火山のふもとで日本の調査チームが発掘した古代ローマ時代の大理石像がこのほど修復作業を終え、美しい全身の姿が明らかになった。ギリシャ神話の酒神ディオニュソス像で、様式から紀元1世紀中ごろの作品とみられる。ローマ皇帝直轄の工房で製作されたとみられ、専門家は芸術性を高く評価している。

 修復されたのは「ヒョウを抱えるディオニュソス像」。右足に体重を乗せ、逆S字形を描いた体の線が美しい作品だ。頭部には、精巧なブドウの房や葉が浮き彫りされている。

 東大を中心とする総合学術調査チームが、ソンマ・ベズビアーナにある古代ローマ時代の遺跡で02年夏に発掘作業を開始。今夏までに頭や胴、左足、左胸が見つかった。イタリアの考古学者による1930年代の試掘で発見された右肩、右腕と合わせ、6部分をつなげた。膝から下は見つかっておらず、想像に基づく復元となった。

 同チーム代表の青柳正規・東大教授(古代ローマ史)によると、ギリシャ古典期の男性裸体像をモデルとし、端正さと優美さを併せ持った作品だという。ナポリ西のバイアにあった皇帝直轄の彫刻工房で作られた可能性が高いが、同教授は「バイアの作品とされる約25体の彫刻の中でも、芸術的に最も価値が高い」と評価している。

 修復作業は、同チームの発注を受けた伊南部サレルノ郊外の工房が3カ月近くかけ、11月末に完了した。担当者によると、レーザー光線で表面の汚れを洗浄し、グラスファイバーなどを使って接合したという。

(12/20 12:08)

↓元ネタ

http://www.asahi.com/international/update/1220/001.html