「慣性系の引きずり」確認

【ワシントン=笹沢教一】物理学者アインシュタイン一般相対性理論をもとに1918年に予言されていた「慣性系の引きずり」という現象が、米航空宇宙局(NASA)の人工衛星2基を使った観測で確認された。NASAなどの国際チームが21日発表した。斬新すぎてノーベル賞を逃した大理論を裏付ける、新たな証拠が見つかった。

 真空の宇宙空間で地球のまわりを人工衛星が回っているとき、地球が自転していてもいなくても、人工衛星の軌道は影響を受けないというのが一般の“常識”。ところが、一般相対性理論によると、重い物体が自転すると、「蜂蜜の中でボウリングの球が回転したときに周囲が引きずられる」(NASAゴダード宇宙飛行センターの科学者)ように、空間そのものにゆがみが出て、周囲の物体が影響を受ける。

 国際チームは、レーザー測定装置を搭載した2基の衛星で、93年から昨年まで、精度数ミリの観測を実施。両衛星が年に約2メートルずつ、地球の自転方向へ余分に引っ張られていることを確認した。観測結果は誤差を含むものの、予想された値と99%合致するという。

 NASAは、今年4月に打ち上げられた観測精度の高い科学衛星「グラビティ・プローブB」を使って、さらに詳細な観測を行う方針だ。
(読売新聞) - 10月22日23時19分更新


イデーン

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