理研などのチーム

 理化学研究所など日本を中心とする国際研究チームは24日、通常の原子核より10倍ほど高密度な状態にある新しい原子核を発見したと発表した。「原子核の密度は一定で不変」という物理学の常識を破る成果。物質に質量をもたらす仕組みの解明につながる可能性があるという。

 通常の原子核は、陽子と中性子湯川秀樹博士の予言したパイ中間子で結びつけられ、密度は原子の種類によらず一定。

 研究チームは別の中間子であるK中間子を原子核に埋め込んだ状態を知ろうと、高エネルギー加速器研究機構茨城県つくば市)の加速器で、ヘリウムの原子核(陽子、中性子各2個で構成)にK中間子を打ち込む実験をした。

 すると、陽子1個が飛び出して、残った陽子1個と中性子2個をK中間子が強く結びつけたと見られる状態が観測でき、通常の原子核より密度が極めて大きいことがわかった。

 物質に質量を与える存在として未知のヒッグス粒子が想定されているが、別の仕組みも関係すると考えられている。理研の岩崎雅彦・主任研究員は「見つかった超高密度な原子核の振る舞いは、ヒッグス粒子では説明しきれない質量の研究に役立つ可能性がある」と話している。

(08/24 20:35)