ザ・フー、ド迫力ライブ

 伝説のロックバンド、ザ・フーが24日、横浜市横浜国際総合競技場で、結成40年目にして初の来日公演を行った。ギターのピート・タウンゼント(59)が右腕をグルグル回し、ボーカルのロジャー・ダルトリー(60)がマイクをぶん回す過激なパフォーマンスに約7万人の観客は大興奮。“最初で最後の来日公演”をロック史に刻んだ超大物バンドは、日本にも確実に“伝説”を残していった。 来日しない最後の大物といわれてきたザ・フーの初来日公演だ。

 ライブ開始と同時にダルトリーが、右手でコードを持ち、先端のマイクをグルングルンと振り回す。合わせるように、タウンゼントが左手でギターを支えながら右腕を大きく回転させ、観客を煽る。オリジナルメンバー2人の派手なパフォーマンスに、来日公演を待ち焦がれていた中年ファンは大興奮だ。

 1978年に死去したキース・ムーンに代わり、ドラムにリンゴ・スターの長男、ザック・スターキー(38)が加入。2年前に急死したベースのジョン・エントウィッスルの穴を、エリック・クラプトンらとセッションしたことがあるピノ・パラディーノ(46)が埋めるなど、進化してきた“新生フー”。タウンゼントが英語で「私たちが日本でコンサートをするのは初めてです。盛りあがってください」と、英国紳士らしく深々と頭を下げた姿とは裏腹に、ステージでは暴れまくり。

 ザックはムーンを彷彿させる、機関銃のように叩き続ける狂気のドラミングを披露しフー健在をアピール。「マイ・ジェネレーション」など往年のヒット曲を次々と熱唱したダルトリーが、“俺たちがNO・1だ”と言わんばかりに、右手人さし指を天に高く突き上げると、約7万人の観客から割れんばかりの歓声が沸き上がった。

 最後は、タウンゼントが自身のギターをガツン、ガツンと3、4回ステージに叩きつけ、バラバラに壊す過激パフォーマンスを披露。還暦の2人が見せる圧倒的なパワーで、アッという間に全15曲、約1時間半のステージが過ぎ去った。

 ロックの祭典「ポカリスエット ブルーウェーブ ザ・ロック・オデッセイ 2004」の大きな目玉となったザ・フーのステージ。日本のロック史に新たな伝説が刻まれたのは間違いない。