ナガナキドリ 起源はシャモ 遺伝研調査


 長い声で時を告げる日本独特のニワトリ「ナガナキドリ」は、闘鶏に使われるシャモに起源を持つらしい。国立遺伝学研究所の小見山智義研究員と五條堀孝教授らが遺伝子を調べて明らかにし、近く専門誌に発表する。日本のニワトリの先祖は外国から入ってきたシャモではないかとも推測できるという。

 ナガナキドリは、東天紅(とうてんこう)、声良(こえよし)、唐丸(とうまる)などの品種が東北や四国など日本各地で飼育されている。ふつうのニワトリの声は数秒しか続かないが、ナガナキドリは20秒近くも引き延ばすのが珍重され、国の天然記念物に指定されている。

 ニワトリの家禽化の歴史を調べている小見山さんらは、品種改良を続けてきたナガナキドリのルーツを調べるため、ナガナキドリを9羽、シャモ42羽、コシャモ9羽、そのほかの日本ニワトリ23羽の計83羽分の血液サンプルを集め、そのミトコンドリア遺伝子から系統図を描いた。

 すると、まず(1)沖縄のシャモのグループ(2)ナガナキドリと本州・九州のシャモの共通祖先のグループとに分かれ、次いで(2)のグループがナガナキドリと本州・九州のシャモ(その他の日本ニワトリを含む)とに分かれていた。品種によって見かけが違うにもかかわらず、同じシャモのグループにまとまっていた。

 闘鶏は日本のほか、東南アジアや中国で見られ、どちらか、あるいは両方から日本へ入ってきたといわれる。五條堀教授は「日本にニワトリが入ってきたのは2000年前だと推測されるが、そもそもは食用でなく、闘鶏など一種の儀式用として入ってきたのではないか。トリの品種と文化のからみ合いが分子進化に見えて面白い」と話している。

id:shingo:20040511